目覚め
はめずらしく車に乗って学校に向かっていた。 おかげで、1時間目にある英語の小テストに備えてゆっくりと勉強ができる。 は助手席でほくほくしながら、頭上にあるライトを付けて教科書を開いた。
あと3キロ程で学校に着く辺りで、急に窓を叩かれた。 その時ちらりと、止まった車達と赤い信号を見た。
眉をしかめて口をへの字に曲げて、苛立っている雰囲気はすぐに伝わってきた。 が慌てて窓を開けると、朝から低く通る声が車の中に流れ込む。
バンッっと大きな音がの体に響いた。 半分眠っていた頭がはっきりとしていくのを感じる。
――結構力入れて閉めたんだけど
「危ねぇだろこのバカ、気をつけろ」 跡部は馬鹿にしたように言い、覗き込んでいた窓からひょいと顔を上げると、の顔を何も言わずに見つめた。
そして信号は青に。 車は走り出してしまった。
長い髪が風を受けて顔にまとわりつくのが邪魔でしょうがない。 は跡部に聞こえたかどうかいらいらしてしまったが、ぐんぐん後ろに遠ざかる跡部は応えるように軽く手を上げてから、車と同じ方向に歩き出した。
朝からあんなフェロモンばらまかれた日には誰だってどきどきする。
そうして自然にふわりと浮かんできた感情にはぎょっとすると、苦笑しながらふっと息を吐いた。
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