プライド
景吾が立っている。 ポケットに両手を突っ込んで、壁に背を預けて。
やはり、かっこいいのだ。 というかどう見てもかっこいい。 背はすらりと高いし、顔も整っている。 私なんて、彼を見ているだけでなんだか感動してしまう。 何か伝わってくるものがある。
そんなことをつらつら考えていたら、なぜか切なくなってきた。
彼は急に壁から背を離すと、こちらに向かって走ってきた。 「てめぇ!人のこと散々待たせといてこんなとこで何してやがる!!」 「え、跡部景吾鑑賞?」 「あぁ!?」 「ごめんなさい」 私は素直に謝った。 「うわっ?なによ」 私はびっくりして頭の上の景吾の手を押さえた。 「オレの傍に居て情けねぇ顔すんな」 「・・・情けない顔してる?」 「あぁ、目も当てられねぇくらいにひどい顔してたぜ」 「じゃあどんな顔してればいいの?」 私が跡部の顔を見上げながら首を傾げて聞くと、景吾の手は私の頭からあごへと移動した。 「もっと自信のある顔をしろ」 「・・・どんな顔よそれ」 「オレの女だってことに自信を持てっつってんだよ」 「景吾の女だって自信ねぇ・・・」 「そうだ」
人がたくさんいるというのに、見せ付けるかのようなゆっくりとしたキス。 私はなんだか肩の力が抜けて、よりキスに集中するために景吾にぴったりと身体をくっつけた。
「今の顔でってこと?」 「そうだ」 キスが終わると、景吾は満足そうににやりと笑って私の唇を拭った。 「じゃあ私が情けない顔したら、いつでもキスしてね」 私もにやりと笑って返す。 「あぁ。いつでもどこでもいいぜ」 「いや、流石に場所は選んでほしいかな・・・」
景吾がかっこいい理由がなんとなくわかった気がした。 それはプライド。 決して自尊心とは違う、凛とその人を支えるもの。
「景吾、ありがと」 私はにっこり笑って言った。心の底から気持ちが温かい。 「・・・っ」 いきなりキスをされた。
笑ってたはずなのに。 「いや、ヤリたくなるような顔だった」 流石に自分の顔が赤くなるのがわかった。 景吾はまだにやにやしながら私を見ている。
私は、またさっきと同じように、にっこりと微笑んでみせた。
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