予測不可能
「ラッキーだったね!まさかこの席に座れるとは思わなかった」 「うん、竜崎先生のおかげだね」 あたしと不二は、食堂の一番端の丸テーブルを独占していた。 購買が遠いのが難点だけど。 じゃあなんで座れたかと言うと、4時間目に授業のなかった竜崎先生が座っていて、ちょうど食堂に入ってきたあたし達に譲ってくれたからだ。 ちなみに英二くんは、あたし達に頼まれてジュースを買いに行っている。
「ところで」 不二がにっこり笑ってあたしを見た。 「なーに?」 あたしもにっこり笑いかえす。
というかさっき食堂に行く途中でばったり会った手塚くんに、思いっきり「好きです!!」って叫んでたのを真横で笑いながら見ていたはず。
「ふざけたって失礼な!あたしはいつでも真剣よ!」 ちょっと苦笑しながら言った不二にあたしはむくれて見せたが、すぐにため息を吐いてしまった。 「まぁ、あれを真剣だと思えって方が無理よね」 「で、どうなの?」 不二はあたしに顔を近づけて、興味津々。 「うーん、なんて言ったらいいのかな・・・。手塚くんのことは好きだけど、ちょっと違うの」 「どう違うの?」 「恋人になりたい!って感じじゃないことは確か。・・憧れてる、が一番近いと思う」 考え考え言ったあたしを、不二はなんだか微妙な表情で見ている。 「でもそれは、人を真剣に好きになるまでの段階の一つじゃない」 「・・う?よくわかんない」
あたしは驚いてしまった。
「僕は、のことならなんでもわかるんだ」
不二はきれいな顔でにっこり笑った。 でも、ちょっと儚い笑い方。
「不二ー!ちゃーん!ごっめん遅くなっちゃった!」
あたしと不二のいるテーブルまであと2メートルくらい。 ごめんね英二くん。いい人だ。 あたしは英二くんにちょっと待ってと言うと、不思議そうにこっちを見ている不二に向き直った。
不二はまたさっきの儚い笑い方で応えた。 「じゃあ、あたしが英二くんに頼んだ飲み物が何か当ててみてよ」 あたしは挑むような微笑を浮かべて不二を見た。
英二くんとあたしはにやにやしながら、考える不二を見守った。
あたしはびっくりして目を見開いた。
「どう?英二」 英二くんとあたしは顔を見合わせた。
「ハズレ!!」
あたしは嬉しくって英二くんと声を合わせて叫んだ。 「英二くんどうもありがとう!さぁ座って座って!」 「やったね〜!オレ不二がクイズ外してるとこ初めて見たよ!!」 「ほんと!?やったやった!!」 不二はというと、びっくりした顔であたしのことを見ていた。
「この間乾くんから野菜ジュース貰って飲んだら結構美味しくて。だからサラダ買う代わりに野菜ジュース飲むことにしたの!」 「オレもこれなら飲めるんだけどな〜。乾印のはマジやばいって!」 英二くんはさっそく定食を食べ始めている。
それは嬉しそうに笑っている。
「当たり前よ!女は謎が多い方が魅力的なんだから!」 それに、とあたしはにこにこ笑う不二に続けて言った。
気温が2度くらい下がった気がする。
不二はそのあともずっと機嫌が良かった。 結局それがなんなのかは思い出せなかったけれど。
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