春って何だかとっても切ない

桜が散るから、そう思うのかな

 

 

 

 

新しい生活

 

 

 

 

高等部入学式。

また1年からのやり直しっていうのも不思議な感じ。

 

制服が変わって(高等部のになっただけだけど)

校舎が変わって(と言っても敷地内だけど)

周りの顔ぶれが変わった(外部からの入学者も居るし)

 

でも変わらないものがある

 

相変わらずの友達も居て

好きな人も変わらない

そして

好きな人の恋人も変わらなかった

 

 

「今年も同じクラスだなんて変なカンジ〜」

「結局、英二とは4年目に突入だね。は3年目か」

「そうだね」

 

今年も、菊ちゃんと不二と同じクラス。

腐れ縁のようだ。

 

入学式が終わって、HRも終わって、部活を見学しようと残っていた教室。

同じ敷地内なのに、随分景色が変わった。

 

桜の木が、近くなった。

 

「高等部でも菊ちゃんと不二はテニス?」

3人きりの新しい教室は、黒板も綺麗で、でも床とかにはこれまで使ってきた色んな人の跡が残っている。

それが学校って雰囲気を醸し出していた。

「そうだね、僕はテニスしか能が無いから」

「不二に限ってそれはない! でも俺もテニス部入るよん。テニス好きだし」

「そっか、羨ましいなぁ。でも高等部って面白いだろうね」

だって中等部より自由で。

去年はエスカレーターとはいえ、受験生で鬱屈してたから、それが一気に弾けた感じ。

それに、好きな人とまた同じクラス。

 

 

「でも、俺…中等部に戻りたいな」

 

 

……あーあ。

『好きな人と同じクラス』で嬉しいのはあたしだけですね。

 

「菊ちゃんは“おチビちゃん”が本当に好きだねぇ」

 

校舎の外─────正確には中等部の方を眺める菊ちゃんが、キレイ。

少し顔を赤くして、口をぱくぱくさせるちょっとマヌケな菊ちゃんが、可愛い。

 

「ななななな、何で知ってるの!?」

 

動揺してる菊ちゃんが、愛しいの。

 

「判るよねぇ、不二。菊ちゃんってば単純だから」

「あはは、も結構言うね。でも気付かれてないと思ってた英二にちょっと吃驚」

 

このバカさ加減も好き。

 

気付いちゃうよ

ずっと見てたんだもん

 

菊ちゃんが“おチビちゃん”を好きになるもっと前から、あたし菊ちゃんの事見てたんだから

バカにしないでよ

気付かない訳ないじゃない?

 

「……気持ち悪いとか思わないの?」

 

上目遣いでコッソリ見てくる仕草が可愛い。

母性本能コチョコチョ擽られるよ。

 

「だって菊ちゃんだもん」

 

ねー、って不二と顔を見合わせる。

 

不二だって知ってた筈だ。

あたしよりずっと長く菊ちゃんと一緒に居るんだし。

でもその不二が離れていかない。

そういう不二の公正さは誰もが認める所だから。

もし気持ち悪いと思ってたら、不二は菊ちゃんの友達止めてるよ。

それに好きって気持ちがあるなら、別に大したことじゃない。(世の中には快楽で不純同性行為をする人が居るらしい)(全く判らないけど、友達に借りた耽美本に書いてあった)

 

「菊ちゃんが“おチビちゃん”をどれだけ見てたか知ってるもん。恋する乙女っていうか。恋するのに男も女も関係無いっていうか?」

 

にししって人悪く笑ってやると、菊ちゃんが照れたように笑って、コイツーって頭を撫でてくれる。

その手が意外に大きいって、もう“おチビちゃん”は知ってるんだろうな。

 

「あんがと、。大好きー」

 

友達として、ね。

あたしも大好きだよ、菊ちゃん。

 

「あれ、校門の所に居るの越前君じゃない?」

 

不二が窓の外を眺めて言う。

 

桜の花弁が風に乗って教室に侵入する。

それを掴もうと手を伸ばした時。

 

「あ! ホントだ! おチビってば俺の事待ってるよ、可愛い〜〜〜!!!! 俺、帰るね!」

部活の見学は明日!
不二も明日まで待ってて

勝手な事を言って菊ちゃんは教室を去った。

 

桜が侵入してきた所為だぞ

ちょこっと桜にヤツアタリ。

 

「我侭だねぇ、菊ちゃん」

 

窓から、凄いスピードで走って行く菊ちゃんの姿が見える。

ブレザーが翻る。

ネクタイが踊る。

 

新しい菊ちゃんとは純粋に友達で居たいな。

 

「泣けば?」

 

「不二?」

 

「好きなんでしょ?」

 

「……敏いね」

 

 

ちょっとだけ笑えて、ちょっとだけ涙が出そう。

不思議。

あたしは悲しい事があった時よりも、優しくされた時の方が泣きたくなる。

 

 

でも、泣かない。

 

 

「女の子は強いんだよ、不二」

 

 

ちょっとやそっとのことじゃ泣かないの。

だって、菊ちゃんを祝福している自分も認めてあげたいじゃない?

 

「それにしても良く気付いたね」

 

苦笑する不二のキレイな髪に桜の花弁が降っていた。

 

「不二、髪に…」

 

伸ばした手が不二に掴まれる。

 

「男の子はね、女の子より弱い所もあるけど、女の子の弱さを受け止められる程度には強いんだよ」

 

抱き締められて

頭撫でられて

 

耳に聞こえる不二の少し早い心臓の音に安心して

 

涙が一滴コンニチワ。

 

「ありがと」

 

あたしの為だけに流れた涙。

自分勝手な涙は一滴だけ。

 

後は菊ちゃんへのお祝いにこっそりあげる。

 

 

「不二、たこやき食べに行こ。奢る」

「本当? じゃあ行こうかな」

 

鞄を持ってくれる不二。

優しいね。

 

 

 

「そうそう、。さっきの気付いたって話…」

 

 

 

が英二の好きな人に気付いたのと同じだよ」

 

 

 

 

「え? ごめん、不二聞こえなかった」

 

 

教室に一気に桜が舞い込んで。

追い出されるようにあたし達は教室を出る。

 

 

「さっき何て言ってたの?」

 

「お金足りなくなるってオチはなしだからねって言ったんだよ」

 

クスクス笑う不二に自慢のキックをプレゼントして、校舎を後にした。

 

 

 

コンニチワ、新しい生活。

サヨウナラ、ちょっとだけ乙女チックなあたしの心。

また会う日まで。

 

 

 

 

 

fin

 

 

 

 

●Afterword●
そんなこんなで初夢。
夢って書いてて面白いですね!(文章には疑問たっぷりですけど)
しかし結局のところ菊リョですわ。
まぁ、読んでくれた方は判ると思いますが不二とはこの後くっつきますよ、メイビー。
春だから、出会いと別れがあるんです。
夢小説を書くにあたって後押ししてくれた花田、氷にこっそり進呈します(気付くかな?)

 

 

04.7.29

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気付いたよ。
普通にアップされた日に気付きましたとも!
これが愛の力です。
不二と菊丸と主人公の関係が素敵!三角関係大好き!!
これからガンガン不二に甘えてほしいです主人公に。
土岐の話の雰囲気が好き、ですきゃー言っちゃったー!!(走り去り)