温かい言の葉

 

 

ふと目が覚めた。
まだ意識がぼんやりとしていて、半分寝てる状態。

布団の中がひどく暖かいのは、隣で寝ている人の体温が高いからだろう。

ぼんやりと、ただぼんやりと前を見ていた。


私の何かが変わっただろうか。


「起きたのか」

「手塚・・・」

隣の人がむくりと上半身を起こして後ろから私の顔を覗き込む。
私も首をよじって、眼鏡のない彼の顔を見つめた。

軽いキス。


「手塚、寒くてたまらないよ」


唇をそっと離した瞬間、私の口からは言葉が溢れでた。

「寒くて寒くて死んでしまいそう。手塚、ほんとに私を抱いた?抱いてるの?」

手塚は眉をよせて黙ってしまった。

まだ中学生だというのに、眉間に皺のある手塚。
思慮深くて、話すことは沢山あるのに話す時間よりも考える時間の長い手塚。

美しくてなんでもできる手塚。


「ねぇ、私は貴方の中にはいれた?」

手塚は私の頬に手を添えると、厳しい顔で私を見つめた。

「お前の孤独はお前のものだ。お前以外にそれを埋めることが出来る奴は、いない」

私はぼんやりとした頭で、しっかりとした視線を手塚にやる。
あぁ、頭が働かない。

「それは、手塚でも埋められないの・・・・?」

頬にある手塚の手は温かい。
それなのに、駄目なの?

手塚が悲しげに目を伏せて、でもすぐに目を開いた。


「俺は、お前の孤独を埋めることはできない」


はっきりと、彼は私の目を見ながら言った。
悔しそうに顔を歪ませている。

「だが、お前の支えにはなれる」

手塚の手に力が込もる。

「お前が寒くなったら、すぐ俺のところへ来い」

「・・・でも、埋められないんでしょ?」

「埋めることは出来なくても、一時その穴を塞ぐことは出来る」

手塚はそっと唇を重ねてきた。
顔が近くにありすぎてピントを合わせることができない。


、俺がいる。お前はもう落ちる心配をしなくていいんだ」


私の目から溢れた涙を、手塚が優しく拭ってくれた。

 

「ありがとう」

 

大好きだよ、という言葉は、それだけで私を温かくした。

 

 

 

back  03/9/1