よく
――隠し事をされた、と思う
「いいか越前、次は無いからな」 「・・うぃっす」 図書室への廊下の途中で声が聞こえた。 角を曲がると、一人の男が去っていくのを越前が見送っていた。
驚かせてしまったようだ。 「今通りかかったとこだよ。何かあった?」 「・・・何でもないっすよ」 越前は頭を掻きながら、目を逸らしてそう言った。
――ばればれなんだけどなぁ 机の上には英語の参考書とノートが開かれている。
何故こんなに苛つくのか。
気遣いなんていらない。 隠されるべき物なんてない。 何もかも僕にぶつけて欲しい。 全部、僕のせいにしてくれ。 叫んで、泣いて、僕を罵ってくれ。 「全部あんたのせいだ!!」 生まれた事さえも、僕のせいだと言ってくれ。
そうして、そこには越前だけが、毅然と立っている。
全く、汚い独占欲だ、と思う。 不二は苦笑した。 しかしその考えは、日に日に強く、不二を支配していっている。
どうしたらよいのだろう、この気持ちを。 何に対して?
僕の知らない越前を知る全てに対して、だ。
不二は自分で自分に呆れた。 「どうしようもないね」 自分がおかしくてたまらない。
手塚のように、部長としての責任も無い。
「どうしようかな」 責任を取るには――
どうして今まで思いつかなかったのか。 安堵の溜息が洩れた。 多少無理矢理になる事が予想されるが、仕方ない。
「そうと決まれば勉強しないとね」
「越前!ちょっといいかな?」 振り返ると、いつも通り笑顔を浮かべた不二がいた。 「なんすか?」 「良かったら日曜うちに来ない?皆出かけちゃうらしくって、寂しいんだ」 「寂しいって、不二先輩・・」 リョーマは心底呆れた。 「まぁいっすけど」 「じゃあ詳しい事はまた後でね」 不二は爽やかに微笑むと、足早にその場を離れていってしまった。 いつもならもう少し話していくのに・・。
――作戦開始だ
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