ゴッド・ハンド
不二は、寝不足と日頃の疲れが重なり倒れてしまった。 気が付けば保健室である。 その時に頭を打っていたそうで、念の為に救急車が呼ばれていた。
他人に囲まれて見下ろされるなんて、最悪なシチュエーションではないか。
白い担架を持った白い救急隊員が現れた。 「歩けますから・・」 不二は担架を断ろうとしたが、 「念の為に」 と言われた為しぶしぶと従った。
不二の中からは、担架が揺れるたびに何か低く暗い感情が溢れ出た。
車に乗せられると中央に寝かせられる。 一人は運転席の方へ行ってしまった。 救急車の中身は外見を裏切らずに白い。
目深にかぶっている帽子から右斜め前に、きれいな髪が流れるようにはみだしている。
「何だ?どこか痛いのか?」 どこか痛いからこうして救急車に乗っているというのに・・・。
「何故君が?」 手塚は露骨に顔をしかめた。 「お前が望んだことだろう」 「・・僕が?」 手塚だと分かった瞬間よりもこちらの方が驚きだった。 「そうだ」 手塚はそれ以上は何も言わずに口を閉じた。
ちらりと視線をやれば、当人は相変わらず何を考えているのか分からない顔で前を見ていた。
眠れやしない。
不二の顔全体を覆えてしまいそうに大きい。
「このままでいてくれるかな手塚」 離れそうな気配を見せた手を軽く抑える。 「・・・起きてたのか」 「うん。寝るまでこうしててもらえる?」
気持ちいいから。
「他にして欲しいことは?」 「これで充分」
手塚は傍にいて心が安らぐような相手ではない、が
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