目・鼻・口_貴方のすぐ傍で
傍にいるようになって気づいたことは、こいつが結構可愛い顔をしている、ということだった。 その気性通りにつりあがりきみの目は、何か挑みかけるように常に前を向いている。 鼻は顔の中心に大人しく収まっている。 そして口、唇は、ふくりと柔らかそうにそこにある。
「あぁ?」 くるりと回転した目が俺を困惑ぎみに捕らえた。
リョーマには広すぎて、跡部がくつろぐにはぴったりの大きさのソファ。 そこに、跡部の膝に乗るようにしてリョーマは座っていた。 文句を言おうにも言えずに、かなり長い時間我慢大会のようになっていたが、跡部はあえて無視して自分の太ももにかかるリョーマの体重を楽しんでいた。 「いや近いって・・・、っ!」 腰に手を回されているせいで逃げられないリョーマは、観念して本格的に文句を言うことにしたようだ。 抵抗をする前にすでにそのスペースもないほど近くに抱きしめられて。 そんなリョーマをあやすように、跡部の手がリョーマの髪を優しく弄んでいる。 「なぁ」 「・・・なに」
跡部の胸に顔を埋めたまま、リョーマは少しだけ考えて、しかしすぐに答えを返した。 「あんたの顔がよく見えるようにだよ」 跡部が声を出さずに笑ったのがわかる。 「ほぉ。じゃあどうしてお前の鼻はどんな匂いでも嗅ぎ分けられるんだ?」 「あんたの匂いを間違えないようにね」 「それは知らなかったな」 跡部はくつくつと笑いながらリョーマの顎をついと上に向かした。 「じゃあ、どうしてお前の唇は、そんなに俺を惹きつけるんだ?」 「それはもちろん、あんたの唇が欲しいからさ」 「上出来だな」 跡部は満足そうに微笑むと、くすくすと笑いの収まらないリョーマの目に、鼻に、そして最後は唇に流れるようなキスをした。 「赤ずきんチャンにしては積極的すぎだね」 「なら役交代だな。俺が狼になってやるよ」 すでに自分のわき腹の辺りをゆるく愛撫している跡部に、リョーマはにやりと笑いかけた。
03/11/10 |