空はどんより曇ってて。
梅雨はどうやらまだ明けないらしい。

 

 

潤い

 

 

今日も、図書委員。
1学期もこの季節。

梅雨。

することがなくて、皆が図書館にたむろして、少し忙しいが為に、サボれない。

 

───まぁ、どうせ筋トレしか出来ないんだろうけど

 

それでも、筋トレだって大切な部活なのだ。
少しムカついて、下駄箱から靴を落とす。
雨なんか、面倒なだけだ。

そんなことを思いながら、外に出ると、やけに空が近い気がする。
大気も随分潤っていて。

降る、かもしれない。
いや、こういう時は必ず、降る。

そんな空。

「あ……傘無いや」

部室に行けば誰かが置きっぱなしにしているだろう、と部室へ向かう事にする。

 

部室が見える位置まで来ると、目的の場所に仄かな明かりが見えた。

誰か居る──といっても、それが誰か、なんてすぐ判るが。

 

何となく、歩む足が速くなった。

 

 

「ちぃっス」

 

声を掛けると、特徴的な優しい目を上げてふ、と笑うその人。

 

「お疲れ、越前」

「大石副部長こそ。こんな時間までよくやりますね

 

机の上に広げられた資料。
大石は手塚の居なくなった穴を───物理的にも、心情的にも───取り除こうと頑張っている。

 

「怪我した俺に出来るのはこれ位だからな」

何となく淋しげに笑う大石に、リョーマもつられて少し空しくなった。

 

 

だから、なのだろうか。

 

 

「……越前?」

気が付けば、大石の頭を撫でている自分。

「……あ」

さっと手を戻して。

 

「……副部長は誰でも褒めるけど……副部長を面と向かって褒める人、居ないから」

 

何処か、言い訳じみていて、少しバツが悪かった。

 

「そうか、有難な」

にこやかに笑って。

「で、どうした? 委員会が終わったなら帰れ」

もうすぐ、雨が降りそうだ、と少し汚い窓から空を見遣る。

 

「誰かビニール傘でも置きっぱなしにしてないかと思って」

 

でも、見当たらない。

同じことを考えたヤツが持って帰ってしまったのだろう。
同じように空を仰いだ直後。

 

 

「……雨だな」

「……雨ですね」

 

 

汚い窓を洗うかのように降りだす、雨。

そのまま、訪れる沈黙。

 

しかし、何故か心地良い。
もう少しこうしていても良いかも、と思うような沈黙だった。

「越前、傘無いんだろう? 送って行くから少し待っててくれ」

沈黙を破るのは、大石の静かな声。

 

「有難う御座居ます」

 

リョーマは少し笑って、もう一度空を仰いだ。

 

 

─────たまには雨も良いかもしれない

 

 

Fin

 

 

 


以前やっていたサイトの2万ヒット記念に、相方・ 土岐時雨とリクしあうことに。
そして花田が迷わず

「大リョで。あと王子を大石の頭に接触させてください」

と意味不明のリクをしたところ、流石そこは相方で、素晴らしいボケをカマしながらリクに応えてくれました★
これは改訂版で初めのは頭に触ってないんです。
突っ込んだら直してくれました(笑)

ほのぼので素敵なお話をどうもありがとう!!
今度は正式にキリリク踏ませていただきます☆

 

 

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