暗密
武器庫で、二人きり。
がさがさ 「なぁなぁルフィ!何してるんだよ〜?」 ルフィは火薬の詰まった箱の上にあぐらをかいて、新聞を切っては貼っての作業を繰り返している。 「なぁルフィってば!」 チョッパーはぴょんぴょん跳ねて、なんとかルフィの注意を引こうと一生懸命だ。 「見せてくれよ〜!!」 ルフィは初めてチョッパーの存在に気付いたかのように下でぴょんぴょん跳ねているトナカイに眼をやると、手元から一枚の紙を払い落とした。 紙はひらひらと舞ってチョッパーの足元へ。
「鹿じゃねーよ!!」 うきうきしながら拾った紙のあまりの内容にチョッパーは叫んだ。 「おいルフィ!!」
「『じゃあ』ってなんだ『じゃあ』って!!大体どーしてしゃべんねぇんだよ!!?」 またもや紙に向かって、目が飛び出しそうな勢いでチョッパーは叫んだ。 「オレは・・・・・!!」
「『?』ってなぁ!!・・・っオレは、オレはれっきとしたトナカイだぁっ!!」 すでに半泣きだったトナカイは、ぼろぼろと涙をこぼした。 「ウゥ・・・ひどいよルフィ・・・・」 チョッパーは鼻をすすりあげながら小さく呟くと、ちょぼちょぼと扉に向かった。
もともとドアのノブはトナカイのチョッパーには回しづらい位置にある。
「・・・腹減ったな」 武器庫に来て初めてルフィが喋った。 「だ、誰かぁ・・・」 チョッパーは恐怖から、叫ぶこともできずに、扉に両手をつくとずるずるへたりこんだ。 ルフィは微笑んだ。
2003年ルフィ誕生日企画作品
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