初めての君との恋
ルフィと最初にキスをしたのはいつだっただろうか。 ナミは海図を描きながら集中力の切れてきた頭でぼんやりと思った。
「・・ナミはすげーなぁ、こんな風に海が見えてんのか」 スローモーションでルフィの瞳が遠ざかる様を思い出す。
「まだ乾いてないから触んないで」 とりあえずそこだけは注意をした。
それ以来ナミとルフィは何度となくキスをしている。 どれも触れるだけの優しいキス。とても自然に、目が合えば触れ合う唇。 動物同士がする信頼の証のような口付け。 ナミはそれだけで温かくて、満ち足りた気持ちになる。
たまらない、とナミは自分の体を抱きしめる。 ルフィの唇を感じる度に、ナミの気持ちは音を立てて成長した。 もっと、もっと、もっと。 太陽の下で無邪気に笑うルフィ。
「ナミにキスする度に、なんか、喉元まで出かかってんだけどなぁ」 蜜柑の手入れをしていたナミにそっとキスをしてから、ルフィがぽつりと言った。
「なんか言いたいことがあるんだけど、なんでか言葉にならねぇ」 ルフィは不思議そうに首を捻った。 「無理しなくていいわよ」 「いや、言いたいんだオレは!それはわかる!・・・んだけど、出てこねぇ」 「キスすると言いたくなるの?」 「いや・・・あっ!わかったぞナミ!キスと同時になんか言いたくなるんだ!だから言えないんだ!!」 「確かにキスしながら喋るのは難しいわね」 ルフィは1つ謎が解けてすっきりしたのか、すっかりその答えで納得しかかっていた。 にししと笑うルフィに、ナミもにこりと微笑んだ。 「でも私は出来るわよ」 ナミはルフィの両肩に手を置いて、ゆっくりとキスをした。 そして唇を触れ合わせたまま囁く。
目を見開いて言葉を発しようとしたルフィに、より深いキスをする。
「オレ、キスしたいなぁって、好きだなぁって」 腕の力を少し緩めて、一旦閉じた瞳を開く。
ふふ、とナミはおかしそうに微笑んだ。 「だってオレ、こんな気持ちになったの初めてだ」 ルフィは眉を寄せてナミを見つめた。 悩ましい顔はいつもより男らしく見える。 「だってしょうがないじゃない、私の方が海に出るのが早かったんだから」 ルフィは不満そうに唇を尖らせた。
「でも、キスした回数じゃルフィが一番よ、ダントツで」 「なら、・・・まぁ、いっか」 まだ不満げなルフィに音を立ててキスをする。
06/7/11
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