ただ思いは散り散りになっていくだけ。

 

 

散文

 

 

他の女を抱きながらアイツのことを考えているのでしょう?

 

オレはアイツの夢が叶う時までそばにいるだけだ。

 

全てを手に入れたいとは思わないの?

 

気持ちを知られなければ、どんなに近づいてもいられる。

 

アンタ憶病者なのね。

 

そう、自分の限界を知った時に変わったんだ。

 

限界なんて感じられない。どれだけ好きになっても気持ちが追いつかない。

 

アイツの前ではいつも無力な自分がいる。あの無力感は二度と味わいたくない、お前もそうだろ。

 

「…ありがとう」

「オレは誰よりも強くなってやる」

 

私とアンタの心が近づくのは当然のことよね。

 

なぜお前はオレの心が読めるようなんだ。

 

誰よりもわかるわよ。私たち違う道を平行に走っているのだもの。

 

アイツは前しか見ていない。いつも夢だけを見つめているのだから。

 

この思いの力は私たちをどんな形に変えていくんだろう。

 

この道の果てでアイツと同じものが見えるんだろうか。

 

気付いた時にはもう遅い。

そんなこと、始めからわかっていたのに。

 

 

 

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