Be my last

 

 

の首に手をかける。
ホテルの嫌に弾むベッドの上で、これから殺されるとも気付かずに眠り続けている。 の首は細く、獣人化しなくとも片手で一回りできそうだ。

少しずつ力を込める。

の眉間が寄る。 ルッチはそこで一旦止め目を瞑る。 変わって脳内で力を入れ続ける。一気に首をへし折った。 は目覚めることもなくびくりと体を震わせ死んだ。

目を開ける。
は無防備に目を閉じていた。首に残る赤い跡。 なだらかなラインを辿る。最後にルッチがこの女の体で一番気に入っている足の小さな爪を見る。

「ふむ」

ルッチは納得する。
オレは、この女を殺せる。

毎晩のように繰り返す行為を終え、ドアへ向かう。 後ろから衣ずれの音がした。 振り返ると、上半身を起こしたと目が合う。

が囁いた。

「貴方は、また私を殺せなかった」

そんなことはない。

ルッチは思うと同時にの心臓を貫いた。 は想像通りに体を震わせて息絶えた。 素早すぎて手に血すら付いていない、は血だらけになっていくだけだというのに。

「殺せない相手なんて、オレにはいねぇ」

ルッチは少しだけ微笑んで部屋を出た。

はオレが殺せなくなることがわかっていたのだ。

外で待っていたハットリが肩に止まった瞬間、ルッチはわかった。

2008/2/1

 

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