雨降って
で、気張って弁当作って来た日に限ってこれ。 私は、私の前ではたはたとはためいているスカート3枚を見上げながら、心の中でため息を吐いた。
4時間目は男子と女子が別々に授業をしたので、早めに終わった私は大きな弁当箱を膝に乗せてぼんやりと空を見ていた。 しかしいい加減お腹が空いたのと、5時間目は体育で早めに食べ終えたい私は、さっさと弁当を食べることにした。
「ね?」 違うと言いたい。 「ちょっと話があるんだけど」 いや、私は聞きたいことなんて何一つないんだけど。 私は想像はしていたものの、いきなり現れた女の子達を呆然と見上げることしか出来なかった。
ぼんやりと見上げるだけで全く反応を示さない私にイラついたのか、私を囲むようにして右横に立っていた女の子が軽く私の腕を蹴った。 「いっ・・・」 私はこれまたびっくりして、その子をまじまじと見てしまった。
私の頭は完全にフリーズして何も考えられなくなっていた。 「返事くらいしなさいよ!」 そして、その女の子に勇気づけられたかのように、今度は私の左横にいる女の子が私の腕を蹴ってきた。 反動で私の手から弁当箱が転げ落ちる。
私は痛みがびりりと走った左腕を庇いながら、必死で声を出さないようにした。 その子を睨みつけると、その子はにやにやと笑いながら私を見下ろしている。 「いい気になってるからよ」
私はまず右横にいる女の子に向き直ると、がばっとスカートをめくり上げた。 「なっ・・・!!」
「っきゃあー!!」
しょせんお嬢様学校の女の子達、この手のいたずらには弱いわけか。 私はというと、侑士との1件以来ジャージを履くようにしている。 この学校でスカートの下にジャージを履く、ということはどうも非常識、かつダサイらしく誰もしていないおかげで目立っているが、効率性重視なのであまり気にしないことにした。昼だけだし。
私は目に思いっきり言葉を込めて睨みつけたやった。
女の子は全力で走り出した。 背中がぐんぐんと近づいて、手を伸ばしてその子のシャツを思いっきり引っ張った。 「きゃーー!」 勢いよく転倒したその子を踏まないように体勢を整えると、私はその子の足元にしゃがみこんでスカートの端を握った。 「ふふっ」 私はなぜか笑ってしまった。
後ろには知らない顔の、背の高い男子がおろおろしながら立っている。 そして、私の頭は何故か二度目のフリーズを迎えた。 さっきまでの高揚感がすごい勢いで引いていくのを感じる。
一番初めにスカートをめくった子が、半泣きになりながら宍戸に叫んだ。 あんた達まだへたりこんでたんかい。
そして私が宍戸の方を向いて立ち上がった瞬間に、私の前で倒れていた女の子は急いで宍戸の方へと駆けていった。 「あの子、いきなり私達のスカートめくりだして・・・!私達話をしようとしただけなのに・・・」 かぼそい泣き声の訴えが響く。 「スカートォ?」 宍戸は呆れた顔で私を見た。
「で、。なんでお前はそんな射殺すみたいな目で俺を見てんだ」
宍戸はまた呆れたようにため息を吐くと、後ろの男子に何か言ってから私の方へ歩いてきた。 「こいつらの言うことが本当なら、思った以上にイカれてんぞお前」 私はいつのまにか浅くなっていた呼吸に気づいて、深く息を吸い込んで口を開こうとしたが、薄く開いた唇からはどんな言葉も出てこなかった。 「?」 私の様子に異常を感じたのか、呆れ顔が心配そうな表情に変わる。 「何があった?」
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