昨日の敵は、今日の友

 

 

・・・はい?

今、思いっきり爽やかな笑顔で跡部って言った?
そういやさっきから「オレ達」って・・・・?

固まった私に気づかずにジローが立ち上がった瞬間、事態は予想通りの方向へ。


「あぁ?なんでここに がいんだよ?」

来た。天敵が来た。
なんでもっと早く気づかなかったかな自分もさ。
やっぱりちょっと疲れてるみたい、あははは☆

「あ、跡部。それにみんなもちょっと聞いて〜」

私を囲むようにして座った跡部、忍足、向日、宍戸に、先程私達が交わした会話を再現していくジロー。


コ・ロ・シ・タ・イ


私の黒い部分が笑顔で言った。
よりによって跡部に!跡部に知られてしまった!!
他のやつらはまだしも、あの跡部に・・・!

あ〜、散々コケにされそう・・・。

この話も断られるに違いない。
ジローとの爽やかな昼食タイムが。
また孤独に食べなければならないのか・・・、場所も奪われて私にどーしろと。

とほほ、と心の中で涙しながらだいぶ白くなっている私に、跡部はこう言った。


「好きにしろ」


そしてごく普通にどう見ても普通じゃないお弁当を食べはじめた。

「ッマジですか!?よーっしゃジローも聞いたよね!?男に二言は通用しないぞやったー!!」

「お前な・・・」

「俺達の意見も聞けよな・・・」

跡部と宍戸が呆れたように呟いた。

「あ、ごめん。まさか跡部がオーケー出すとは思わなくてさ〜。やっぱし部外者とは食べたくない?」

私はさっきまでのハイテンションから、急にしょんぼりして言った。

「いや、俺は嫌だとは言ってない!」

宍戸が慌てて言った。

「ほんと?ならいいってことだよね!!忍足と向日は?」

ちょろいよ宍戸君。
私は心の中の黒いオーラを隠し切れずに、笑顔全開で二人の方を向いた。

忍足と向日は何がおかしいのか思いっきり笑っている。

「オレは構わへんよ、お前もえーやろ岳人?」

「おぅ!全然いーぜ!」

「マジで!みんなありがと〜!!特にジロー!」

私はほんとに嬉しくて、ちょっぴり涙ぐみながらみんなに笑いかけた。


「跡部さ、今まで色々言っちゃってごめんね」

私の隣に居た跡部は、食べかけていた物を思い切り咽に詰まらせたようだ。
うわぁ、痛そうな咳してるよ可哀想・・・。
私はそっと跡部の背中をさすりながら話を続けた。

「バカだとかアホだとか、エロエロ大魔王だとか榊太郎(43)とデキてるとか、もう言わないよ」

涙目で私を見つめる跡部に、にっこりと微笑みかけた。

 

「本当にありがとう」

 

!てめぇんなこと言ってたのか!?特に監督がどーのってなんのことだ!?」


跡部のマジギレした顔久しぶりに見たな〜。

なんて悠長に考えてる時でもないか。
私と跡部を除く4人は思いっきり大笑いしている。
そんなおもしろいこと言ったっけ?


「なんだよー!人が素直に感謝してるんだから素直に受け取ってよ!」

「それはいいんだよ!変な噂流すんじゃねーよこのバカ!」

「バカだと!?この噂は私が流してるわけじゃないもん!ね!忍足?」

「ほんとなのか忍足!」

すでに二人とも膝立ち状態でガンを付け合っている。
さっきまでの友好ムードはどこへ行ったのやら。

その二人に睨まれた忍足は、おぉこわ、と呟いて肩をひょこっとすくめると、意地の悪い微笑を浮かべながら頷いた。


「はっきり言うて、知らんのは当事者2人だけやと思うで」


その言葉に、跡部は少しよろけた。

「ちょっと大丈夫跡部?しっかり!」

私はそっと背中を支えてあげた。

そんなにショックを受けるとは思わなかった。
悪いことしちゃったかな・・・?今後のために謝っとこう。


「あのさ、噂なんて気にすんなよ。麗しい音楽教師兼監督にアイドルばりの顔のテニス部部長ときたら、噂にならない方がおかしいって」

跡部は意外そうに眉をよせて私を見た。
まさか慰められるとは思ってなかったんだろう。

「それに人の噂も49日って言うじゃん。そしたらもう誰の目も気にすることなくいちゃつけるから、安心しなさい」

 


そうして、何故だかわからないけどむちゃくちゃ機嫌の悪くなった跡部に、異様に笑いまくる男4人、私の新しい仲間に囲まれての1回目のランチは無事(?)終了したのだった。

 

 

 


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